6月の新月の日 満点の星空を求め半日かけて長野県へ。よこね田んぼからは2時間半ほどの道のりだった。
高ボッチ高原に行くまでの山道は狭くカーブが急で、辺りは木々に囲まれ真っ暗。他の車の明かりすら見ることが無かった。
やっと登り切り、開けた場所にでた。辺りは真っ暗で少し怖かったが、標高が高く冷え切った空気が気持ちよかった。だだっ広い駐車場のようだがなぜか車が一台もいない…真っ暗な中一人でいるのはかなり不安だった。車のライトであたりを照らしてみると鹿が二匹。山行くとほぼ必ず見れる。
早速GoProで写真を撮ろうと思ったが撮影をするには車の明かりを全て消して、暗闇で写真が撮れるのを一人で待たなくては行けなかった。ライトを消すと本当に何にも見えなくなり怖かったが、ここまできて写真すら撮らない訳にもいかないのでなるべく早く終わるように急いだ。
写真を撮り終わり人気のない暗いところに長時間一人でいるのは精神的にきついので帰ろうかと思ったが、まだ星しか見ていなく、夜景を見ていないことに気づいた。調べた時には夜景が綺麗で富士山も遠くに映っていた。
標高の高さを感じる澄んだ空気と空に広がる綺麗な星空に満足していた。走り出して目的地がもし遠かったら引き返す事もできず、ひたすらに暗い道を『目的地はこの先にある』と信じて進まないといけない羽目になる。
この前のトラウマで得た経験は奇しくも大きい。携帯のマップを見てすぐ先に展望台があることをしっかりと確認してから向かった。少し行くとすぐについたのだが、驚いた事にこっちに四台ほど車が止まっていた。メインはここだったのかもしれない。暗い山の中で人を見るととても安心する。この何人かの人の気配だけでも計り知れない安心感があった。
車を止めてみにいくと遠くの街の夜景が下に広がっていた。この綺麗な星空と同時に広がる夜景は初めてだった。久しぶりになんとも言えない感動が押し寄せた。空気は冷えてパーカーを着ただけでは寒かったが、この寒さがまた特別感を引き立てる。
ここの夜景に匹敵するくらいの夜景は見たことはあるが、このロケーションは完全に未知だった。星空と一緒に見れる綺麗な夜景は、他にはなかなか無いだろう。
後々になって思い出した。すっかり忘れていたが、富士山はいったいどこにあったのだろうか。撮影スポットはここじゃなかったのかもしれない。またいつか来るその時に確認してみようと思う。
帰り道もまたなかなかにきつい山道だった。下っている途中は鹿を何匹か見たのと尻尾だけしか見えなかったのだが草の中にアライグマのような模様をした動物が見えた。それと二匹の子猫がトコトコ目の前を歩いていて可愛らしかったが走って逃げているつもりなのだろうが、とことこ道路を進んでは振り向いてくる。かわいくて愛くるしい姿だが道の端っこに避けてくれないと進めない。
降りている途中、上から見たあの夜景が木々の合間から何度か顔を出す。帰り道すらも楽しませてくれるか。木々の先に見える街明かりはまた違った綺麗さがあって楽しくて、本当に素晴らしい場所だと思った。
車で行ける距離に住んでいる方には是非一度入ってみてほしい。ただ山道が急なので苦手な人は気をつけてほしい。いけないことはないと思うが、暗くて急な山道はかなりの疲労になるだろう。免許を取り立ての人にも少し荷が重いかも。行くならそこを考慮して行って欲しい。自信がなければ自信がつくまで運転してからいつか行くと良いだろう。